施工不良とブランドダメージを受けた物件オーナーの問題


レオパレス21の施工不良問題で、大変な迷惑を被っているのは、入居者、アパートオーナー、株主、そしてレオパレス21の社員ですが、入居者については早期退去を求められる入居者の場合は、この春の時期は、とても大変だと思います。

しかし入居者の場合は、とにかく退去して、レオパレス21以外の賃貸住宅に引越せばレオパレス21との関係も終わり、施工不良問題の事で、これ以上煩うことはありません。

社員や株主にしても転職や損失確定などしてレオパレス21との関係を断つことはできます。

アパート画像

レオパレス21のアパート群。

しかし、今回の事件で、最も困惑させられるのはレオパレス21のオーナーたちです。

この施工不良事件以降、レオパレス21の物件が幾つも売りに出されているようですが、現状では、よほどの割安感がなければ買い手は見つからないでしょう。

しかもアパートオーナーさんの多くが銀行からの多額の借入金をかかえているのです。

このてんで日本経済新聞2019年3月7日の「レオパレス、混迷深まる オーナー借り入れは2兆円規模 」という記事には

レオパレス21の施工不良問題が波紋を広げている。約7700人が早期の引っ越しを迫られ、改修が必要な物件はさらに膨らむ。アパートオーナーが抱えるローンは総額2兆円規模とみられ将来の焦げ付き懸念も浮上。貸し手である地方銀行なども無縁ではいられない。

レオパレス、混迷深まる オーナー借り入れは2兆円規模 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

と報じています。

この日本経済新聞の記事からレオパレス21のアパートオーナーさんの実態がある程度、浮かび上がってきます。

レオパレス21のアパートオーナーさんお負債総額が約2兆円ということです。

そしてレオパレス21のアパートオーナーさんの総数は2万人程度と言われていますので、アパートオーナーさんお1人あたりの負債の平均は1億円ということになります。

1億円の返済ですが、1年で300万円ずつ返済していっても10年で3000万円、30年で9000万円ですから、家賃収入が継続的に順調に入り続けなければ、返済できなくなる可能性があります。

懸念されるシナリオとしては、レオパレス21の入居率が低下→募集家賃を大きく下げる→アパートオーナーに支払われる賃料の大幅減額→アパートオーナーが銀行への返済が厳しくなる、といったことが懸念されています。

もちろん必ずしもこうなるというわけではありませんが、先行きの不透明さにオーナーも不安でならないでしょう。

もちろんこれこそが、不動産投資のリスクというか怖さなのかもしれませんが。

追記:全国賃貸住宅新聞2019/10/8の「レオパレス21違法建築「摘発に向け嘆願書」という記事には

レオパレス21(東京都中野区)のアパートオーナーが所属する「LPオーナー会・レオパレス違法建築被害者の会」は9月25日、界壁不設置などの不備の見られたアパートを「建築基準法違反」として摘発してもらう嘆願書を検察庁に提出した。・・嘆願書を出すきっかけとなったのは、同会の一人が8月27日に賃貸借契約(サブリース契約)をレオパレス側から解除されたことから。

レオパレス21違法建築「摘発に向け嘆願書」 :: 全国賃貸住宅新聞 (zenchin.com)

と書かれていました。

どうやらLPオーナー会に所属する方の賃貸住宅オーナーが、レオパレス21から契約解除されたことをきっかけで「建築基準法違反」として摘発してもらう嘆願書を検察庁に提出したようです。

やはりレオパレス21は不都合なオーナーさんとの契約解除は相変わらず行うようで、そのことも不安視される要因になっているようです。

繰り返し敗訴 レオパレスオーナー それにしてもなぜ勝てない