サブリース建設会社があくまでも自社所有の賃貸物件を運営しないのはなぜ


昔の不動産賃貸の主流となっていたのは、アパートオーナーが物件の管理を一括借り上げでない仕方で不動産管理会社にお任せして行うという方法で、空室が生じた場合は、空室分の家賃収入が入らなくなるというデメリットがありました。

いわば不動産管理会社はアパートオーナーとの間に入って業務を行い、あくまでもアパートオーナーをサポートするという立ち位置だったように思われます。

ところが近年はサブリース方式でのアパート経営が主流になりつつあります。

この方式の場合はサブリース会社がアパートを一括借り上げし、アパートオーナーには、定額の賃料を支払うというものです。

このことによってアパートオーナーは空室による損失を回避できるというメリットが生じるようになりました。

一方でサブリース方式の場合は、空室リスクが回避できる反面、管理手数料が家賃収入の10~20%程度かかることと、周期的にアパートオーナーに支払われる賃料額の見直し(多くの場合、経年とともに減額される)といったデメリットがあります。

ところでサブリース会社といえば、大東建託、レオパレス21、積水ハウス・・大手の建設会社が行っていますが、それならば自社物件にして賃貸住宅経営をしたほうが儲かるのではないかと考えてしまう場合もあります。

アパート画像

大東建託施工管理の木造アパート。

しかし実際は、物件は自社物件にしないほうが儲かる仕組みになっているようです。

というのもまずサブリース会社は、地主さんの土地にアパート建設を行うことによって、建設にともなう利益を得ることができます。

オーナーが建設会社に支払う建設費のうちの数十%は建設会社の利益になっているものと思われます。

さらに竣工後はサブリース方式で管理手数料収入を得つつづけることができます。

一方で自社物件にすると、建設費や土地購入費用は会社負担としていかなければなりません。

銀行からの借入に頼らなければならないかもしれず、銀行から融資が否認されることもあります。

さらに不動産取得税もかかってくるのです。

一般に固定資産税評価額~4%がかかってきます。

仮に固定資産税評価額が1000億円の不動産を建設会社が取得したならば、税率が2%だけとしても20億円の不動産取得税がかかるわけですから、馬鹿になりません。

ということで建設会社は賃貸住宅を自社物件として運用することはあまりないのです。

いってみればサブリース会社にとってアパートオーナーはビジネス上、なくてはならないパートナーであり、利益を分け合う関係となるのです。

追記:ウィキペディアによるとサブリースについて

・サブリース会社が借地借家法による保護を受ける。・・
・借地借家法により家主からサブリース契約を解除することは困難であるが、サブリース会社から契約を解除することは比較的たやすい。・・
・サブリース会社と家主の間に宅建業法は適用されない。・・
・サブリース会社の関連会社が建設する場合、サブリース会社はオーナーからの支払われる建設費とサブリース会社が建築会社に支払う建設費の差額で儲けるため、出来る限り安く建物を作らせオーナーに出来る限り高く売る場合がある。
・サブリース会社の関連会社が建設しない場合、サブリース会社に建築会社が建築費の数十%をコンサルタント料として支払っている場合がある。
・大手サブリース会社も「一括借上げ方式」の管理では利益をあまり上げておらず利益の80%は建物の建築で稼いでいる(上場会社のセグメント情報)。このためサブリースを行って長期的に利益を確保するのではなく、家賃保証をセールストークに建物を建てさせることが目的となっている。
・サブリース用に建てられた物件の建築費用は相場よりも非常に割高であり、オーナーが不動産を手放す時に購入価格と売却価格で大きな損失がでる場合がある。・・
・敷金・礼金・更新料・修繕費などを家主が受け取れない場合がある

サブリース

と書かれており、サブリース会社は建設費で儲けることができること、借家法によって法的な保護が得られることなどさまざまなメリットがあることがわかります。

メディアの偏重報道で叩かれるサブリース しかし実態は