家主ではなく賃貸住宅の借主が修繕等を行いそのためにかかった費用を「必要費」あるいは「有益費」といいます。
そこでまずは「必要費」についてですが
2階アパートに住んでいて、時々屋根からの雨漏りが気になります。
そこで、すぐに直せるものと思い、材料を買い修理します。
そして修理にかかった費用のレシートをきちんと保管しておくとします。
そして後日、賃貸人に費用の請求を行います。
このような費用を「必要費」というそうですが、この場合、賃貸人つまりは家主は請求に応じて支払うべきなのでしょうか。
このてんで、民法608条1項には必要費償還請求権があることについて規定されています。
ですから雨漏り、畳替え、壁の修繕等で入居者が費用負担した場合は基本的には
必要費として家主に請求できます。
しかし基本的にということですが、そもそも修繕、修理を入居者が家主の承諾なしに行った場合は該当しないかもしれません。(該当しないとは限らないようです)
あくまでも家主の承諾を得たうえで修繕、修理を行ったうえでならば、かかった費用を「必要費」として請求することができるというわけです。
もちろん今の時代、家主の承諾を得て修繕修理にあたるよりも、家主に修繕箇所を指摘して、家主に修繕修理にあたってもらうほうが多いと思いますし、そのほうがトラブルが生じなくて良い事だと思います。
しかし修理修繕を自分で行うことができる、ないしは親しい知り合いに行うことができる方がいるならば、入居者サイドで修繕修理を行い、かかった費用を家主に請求するということがあるのかもしれません。
例えば上記のような雨漏りとか、猛暑のさなかのエアコン故障などで、迅速に修繕してほしいものの、なかなか動いてくれない場合などは借主のほうで修繕したいと思うことでしょう。
ところで必要費の請求権はいつまであるのでしょうか。
この場合、直ちに請求することは、もちろんできますし、賃貸契約が完了し明け渡し後、1年以内ならば請求することができるそうです。
ですからかなりの長い期間、請求する機会があることになります。
このてんは「有益費」についても同じことがいえます。
この有益費とは物件の価値を増加させる費用のことです。
例えて言うならば最近、よく言われているリノベーションのようなものなのでしょう。
そしてこの「必要費」「有益費」の件でトラブルになるのは、
借主が賃貸契約終了後に請求してくる場合です。
とにかく契約終了後、1年間は請求することができるというわけですから。
ではどうすれば契約終了後の請求を回避することができるのでしょうか。
それは特約をつけることによって回避することができます。
例えば「貸主は必要費や有益費の償還には応じない」といった具合にです。
このようにして契約終了後の必要費や有益費の支払いを免れることができるでしょう。
また借主は修繕をする前に特約に「有益費」や「必要費」についての事項がないかどうかを確認にし、どうしても気になるような文言があるならば、管理会社や家主とよく協議や確認をしたうえで行うのが無難といえるでしょう。
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