大規模修繕工事 設計監理方式と責任施工方式 どちらを選ぶ?


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世帯数の多いマンションの場合、設計管理方式で大規模修繕工事を行う場合が少なくない。

通常であるならば、アパートマンションの多くが10年~15年の間に大規模修繕工事を行います。

そのさいに世帯数の多いマンションの場合は、多くの場合、設計監理方式でこの大規模なプロジェクトを行うことでしょう。

この設計監理方式について株式会社あんしん保証のサイトの「設計監理方式とは? マンション大規模修繕工事の3つの発注方式とは?」の記事には

設計監理方式とは、実際に工事を行う施工業者とは別に、建築士又は建築士を有する設計事務所・建設会社・管理会社等を選定し、①合意形成までの段階では、[調査診断・改修設計・施工業者の選定・資金計画等に係る専門的、技術的、実務的な業務]を委託し、②工事実施段階では[工事監理業務]を委託する方式です。

引用:設計監理方式とは? マンション大規模修繕工事の3つの発注方式とは?

(最終閲覧日2018/5/11)

と説明されています。

このように施工業者とは別に設計事務所やいわゆるコンサルタントに劣化診断や改修設計、そして施工業者の選定やその他の業務を任せる方式ということです。

また工事を行う時には、工事全体の監理を行います。

ですから、いわゆるコンサルタントを選択したならば、後はお任せ方式なので、管理組合にしても物件オーナーにしても楽な方式というメリットがあります。

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設計監理方式のメリットは、コンサルタントに任せれば修繕工事に関する煩雑な事柄から解放されるメリットがある。

とりわけ管理組合にしても物件オーナーにしても、建築や修繕についての知識や経験があまりない場合に、専門家ともいえるコンサルタントにお任せできる安心感があります。

また世帯数の多いマンションなどでは、区分所有者の意見を集約しなければなりませんが、専門家ともいえるコンサルタントが入ることによって、意見の集約がしやすくなるともいわれています。

もちろんコンサルタントの業務を行ってもらうわけですから、それ相応のコンサルタント料がかかりますが、コンサルタントによって修繕コストを削減させることも可能です。

というのも改修診断と改修設計と施工業者が別なので、施工業者による不必要な工事を回避することによってコストを抑制させる効果があります。

さらにコンサルタントによる競争入札等の競争原理を導入して、施工業者を選定することができますので、この面でもコスト削減を行うことができます。

このようにメリットの多い設計監理方式ですが、注意すべきなのはコンサルタント会社の選択です。

近年、明らかにコンサルタントと施工業者が癒着して、割高ともいえる工事費用を請求する事例が増えているようです。

なかにはコンサルタント料は安くしている一方、施工業者が割高な工事費用を管理組合に請求して、コンサルタント会社は施工業者からキャッシュバックを得るという手法で、利益を得ている悪質なコンサルタント会社もあるようです。

設計監理方式のメリットを享受するためには、悪質なコンサルタント会社を注意深く避けて、良識のあるコンサルタント会社を選択することが重要です。

追記:上記の記事でも多少ふれましたが、設計監理方式のデメリットについては以下の記事をご覧ください。

世帯数の多い分譲マンションになると、大規模修繕工事はほとんどの場合、設計監理方式つまりはコンサルタントに一任して大規模修繕工事を行うことが多いことと思います。

この設計監理方式、つまりはコンサルタントに一任しての大規模修繕工事のメリットは大世帯マンションの場合の意見の集約にはコンサルタントに一任したほうが効果的であるということ、また良識のあるコンサルタントに一任できれば、施行業者の選定のさいに競争入札制を取ることによって施工コストを抑制することができること、さらに不必要な工事をしないようにように監理することによってもコストを抑えることができるというてんにあります。

ですから多くの大規模修繕工事においては設計監理方式が取られることがあるようです。

しかし実際には幾らかのデメリットも最近は指摘されています。

どのようなデメリットでしょうか。

その1つが設計監理方式によってコンサルタント料が発生するというてんです。

どれぐらいの料金がかかるかについては管理組合サポートのサイトの「大規模修繕のコンサルタント費用の相場は?」の記事によると

大規模修繕工事のコンサルタント費用相場は、
戸あたり約2~3万円
総工事費用の約5~10%
のいずれかとなります。

引用:大規模修繕のコンサルタント費用の相場は?

と書かれています。

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設計監理方式にも幾つかのデメリットがある。

ですから例えば3000万円規模の大規模修繕工事となると150万円~300万円がコンサルタントの費用となります。

もちろんこれはあくまでも目安なので、種々の要因で変動しますが、いずれにしてもコンサルタント料そのものは安くはありません。

さらに悪質なコンサルタントに一任した場合、施工業者の選定のさいに、競争入札の効果が働かずに談合のような形で選定されてしまい結果的には区分所有者たちの費用負担が大きくなってしまうということも生じえます。

ですからくれぐれもコンサルタントの選定には注意しなければなりません。

さらに施工業者の下請け、さらにその下請けが工事を請け負うといった形になって中間マージンが発生することもあります。

ですからコンサルタントに一任する設計監理方式にも注意すべきデメリットがあるのです。

とりわけ最近は、悪質なコンサルタントが、施工業者からバックマージンを取っている実態が明らかにされており、そのために結果的には施工費が高くなり、その負担はマンションの区分所有者たちが負っていることが暴露され社会問題となっています。

ですから設計監理方式で工事を行うにしても適正に物事が行われていることを物件オーナーがきちんと監視監督することが必要です。

追記:設計管理方式に対して、責任施工方式があります。

責任施工方式は施工業者に調査診断から改修設計、資金計画、実際の工事まで全てを一任する方式のことです。

管理組合は、信頼のおける数社や、競争入札で選定した数社の施工業者に、調査診断や修繕計画、工事費見積もりなどの提出を求め、一社を選定することになります。

この方式のメリットとしては初期の段階から、施工業者が関わることで、施工性、例えば工事中の仮設計画や工事実施手順等に配慮した検討や綿密なスケジューリングが可能になってきます。

そして設計監理方式のような専門家の費用を必要、つまりはコンサルタント料がかかりません。

デメリットはとしては、設計と施工が一体化するため、工事内容と費用内訳の関係が不明瞭となりやすい場合があります。

ですからやはりこの場合でも、施工業者の選定が重要になってきます。

いずれにしても大規模修繕工事は建物の維持のためには避けられないものであり多額の費用と期間を要するものとなります。

慎重に検討し、悪徳業者にひっかからないように注意したいものです。