賃貸住宅経営 経年とともに後悔することがあるのはなぜ


2016年以降ですが、朝日新聞の記事以降、その後の日経新聞、産経新聞にも、アパート経営リスクが強調される記事が掲載されました。

記事の内容は、概ねアパート経営について、ほとんど何も知らない地主さんが建設会社の営業を受け、土地活用そして相続税対策のためにアパート経営を行うようにとの勧誘に応じ、その後、様々なリスクに見舞われるようになり、とても後悔しているといった内容です。

もちろんこういったケースで問題となるのは、営業成績を上げたいがために、地主さんの無知につけこむような営業そのものも(アパート経営についての生じ得るリスクを十分にわかりやすく理解できるように説明していないともいえると思いますが)そしてアパート経営についての知識も経験もないために、アパート経営を行うことによるメリットばかりに思いがいってしまう地主さんにも多少問題があるように思います。

そして今、流行っている一括借り上げによるアパート経営は無知な地主さんがアパート経営を始めるための、うってつけの商品であり、アパート経営の経験や知識がなくても、不動産の世界に入りやすくなっています。

しかしいざこの世界に入ってみて、こんなはずじゃなかったと感じることがしばしば生じ後悔するといったシナリオがあちらこちらで発生しています。

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アパート経営には立地条件の知識や、アパートにかかわる法律にもある程度、精通している必要がある。

一方でアパート経営についての知識や経験があれば、生じ得るリスクについても、熟知していますし、建設会社の一括借り上げの、甘い話にのって、建てるべきでない場所にアパートを建てて、後に空室リスクと大きな賃料減額に悩まされるという事態を避けることができるでしょう。

アパート経営には、借地借家法や建築基準法など、さまざまな法律が関係してきますので、そのような法律についてよく知ることは大切ですし、税務対策も重要になってきます。

家賃収入が大きく、必要経費が少ない年は、どうしても所得税、住民税の支払い額が大きくなりますので、合法的な節税対策について知って実践することも大切です。(多くの場合、一括借り上げ会社は相続税対策の計算等はしっかりと行ってくれますが、確定申告のさいの節税対策は個人で行う必要があります)

もしも一括借り上げ会社のほうから契約解除を行ってくるならば、ある程度の知識や経験がなければ耐え難い事態になるでしょう。

ですからアパート経営を行うならば、知識や経験を身につけておくことは、とても重要な事柄だと思います。

追記:アパートオーナーも責任の伴う事業者です。そのてんについては以下の記事をご覧ください。

土地の地主さんであるならば、アパートやマンション経営を始める動機は、相続税対策や固定資産税対策があるかもしれません。

とりわけ都心部や市街地の土地価格は高いために、相続税対策などが切実な課題となる場合があります。

ですからそのような場合は、とにかく相続税を大幅に軽減できたことで満足感が生じ、これから数十年と続くアパート経営は建設会社や管理会社任せになってしまい、あまりアパートオーナーが顧みるということがあまりないかもしれません。

そうなるとやがては空室が目立つようになり家賃収入が細るようになっていく一方、修繕費用などの維持管理コストは増大していきます。

そうなるとアパート経営そのものが赤字続きとなり結果的には相続税で軽減された金額も、アパート経営によって生じている赤字によって相殺されてしまうことでしょう。

さらに地主さんによっては、自分の土地にアパートやマンションを建てることを社会的なステータスと考える方もおられるようです。

しかし前もって十分な市場調査も行わずにステータスにこだわって建てたアパートやマンションも空室に悩まされるようになりやがては土地やアパートも手放さなければならなくなるかもしれません。

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完成間近のへーベルメゾン。

そうなると社会的なステータスどころか、失敗者としての烙印を押されてしまうことになるでしょう。

到底、アパート経営はステータスのために行うものではありません。

もちろん資産家が相続税対策のために行うというならば、ある程度理解できますが、しかしアパート経営についてほとんど無知なオーナーさんであるならば、建設会社や管理会社に、いいように利用されたあげく赤字続きの経営を強いられるリスクがあります。

ちまたでは不動産投資は経験や技能がなくても始めることができると宣伝されていますが、しかしアパート経営を行うということは事業主になるわけですから経営判断を下さることができるほどのアパート経営についての知識を身に着けていなければ、様々なリスクにぶつかった時に戸惑ったり後悔したりすることになります。

やはり始めるきっかけがなんであれ、事業を行っているという自覚を持つことは必要です。

国土交通省による以下の資料も参考になります。

アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!

サブリース – Wikipedia