昔のことですが、神戸の六甲地区を戸別訪問をしたことがありますが、アパートに行ってみると、しばしば学生にお会いすることがありました。
その学生とは神戸大学の学生で、神戸の六甲には国立のマンモス大学、神戸大学があるので、その周辺のアパートには神戸大学生が多く住んでいたのです。
一方で、あるオーナーさんは港に近いエリアにテナントビルを所有していました。
というのも大手財閥系の電機会社が事務所として全館を借りてくれるという話があったからです。
オーナーさんとしても、大手の会社なので、家賃の不払いリスクはありませんし、しかも永年にわたって借りてくれるものと期待していたようです。
ところが期待に反して、後ほどこの会社は経営方針の変更により、このテナントビルから撤退することになります。
すると困ったのは、このビルのオーナーさんです。
次に借りてくれる事業者はなかなか見つかりませんし、結局はこのオーナーさん、このビルを格安の値段で売却することになりました。
ところで、この2つの事例で共通している事柄があります。
それはいずれも大きな会社や大学への依存度が大きいアパートや賃貸経営をしていたというてんです。
なかには地域に根ざした大学や、大きな会社の賃貸需要を見込んでアパートを建てたりするオーナーさんもおられます。
もちろんそのような考え方もありだと思いますし、大学や大きな会社が存続する限り、高い入居率を維持できるかもしれません。
しかしあくまでもそのような大学や大きな会社が存続している限りのことです。
もしもそのような大学や大きな会社が移転したり閉鎖になったらどうなるのでしょうか。
現実的に、大学の移転はこれまで何度か生じてきましたし、今後も少子化の影響で大学の統合などで、キャンパスの閉鎖といったことはあり得ることです。
さらに大きな会社の移転や閉鎖も何度も生じてきた事柄です。
ですから大きな会社や大学をあてにしたアパートや賃貸住宅にはリスクがあります。
とりわけ地方において、そうした事態が生じると、たちまち空室リスクに悩まされることでしょう。
ですから大学や大きな会社に依存した地方でのアパート経営を始めることには慎重に検討する必要があります。
追記:地域が炭鉱に依存していた町に北海道の夕張があります。
しかし炭鉱が社会で必要でなくなっていくと夕張の人口は激減しました。
ウィキペディアによると
1960年(昭和35年)には北炭(夕張鉱業所・平和鉱業所)、三菱(大夕張鉱業所)の三大鉱業所を中心に北炭機械工業(鉱山・産業機械製造)、北炭化成工業所(コークス・化成品製造)などの関連産業も発達し、116,908人の人口を抱える都市となった。
とあります。
このように最盛期には11万6千人ほどの人口だった夕張市ですが現在の人口は
6959人
と書かれています。
このように夕張は炭鉱産業が終わりを迎えると、人口が10分の1以下に激減したのです。
このようななかで、もしもアパート経営をしているならば、たまったものではありません。
このように特定の工場や産業、そして大学に依存している地方都市における賃貸住宅経営には大きなリスクがあります。
アパートの立地エリアが重要なのはなぜか 車社会でも地方は苦戦する