アパート経営の健全性を示す指標はさまざまなものがあります。
必ずしも家賃収入が額が大きければ健全というわけではありません。
例えば1カ月で500万円の家賃収入があっても、アパート経営のために毎月550万円の支出があるとするならば、このアパート経営は健全とはいえないでしょう。
一方で、1カ月の家賃収入が30万円としてもアパート経営のための支出が15万円とするならば、そのアパート経営は順調といえるかもしれません。
ですから家賃収入の大きさだけでアパート経営の健全性を計ることができるわけではありません。
ところでアパート経営の健全性を計るのに役立つ事柄の1つして
キャッシュフローがあります。
このキャッシュフローですが、簡単にいえば、家賃から経費と返済を除いて残るお金のことをいいます。
上記の例でいうと支出が経費+返済にあたります。
ですから上記の例でいうと1番目の例のキャッシュフローは概ねの数値ですが-50万円となります。
そして2番目の例が+15万円のキャッシュフローとなります。
明らかにキャッシュフローの視点からしても2番目の例のほうが、健全なアパート経営状態にあることを示しています。
もちろん経費にあたる部分に何があたるかによって数値が異なってくるわけですが、具体的にはどのような事柄を経費として計算されているのでしょうか。
この経費のなかには通常は固定資産税は含まれますが、その一方で所得税や住民税は含めないようです。
固定資産税以外にも含まれるものとしては、清掃費用、エレベーターのメンテナンス費用、管理会社への費用、微小な修繕のための費用といったものが含まれます。
しかし厳密に、1つ1つ計算していくと面倒かもしれませんので、家賃収入の20%を経費として、おおざっぱに計算する方法もあります。
もちろんあくまでもおおざっぱな計算法なので建物によっては、これよりも多くかかっていることもあれば、そうでない場合もあります。
ところでキャッシュフローで計算すると、銀行への返済と金利支払い分が多くを占めていることがわかるかもしれません。
もしも家賃収入を100とした場合、銀行への金利分を含めた支払額が60を超えるとするならば、かなり厳しいキャッシュフローとなり、この場合は銀行への支払い分を減らすために可能ならば融資期間を延ばしてもらい毎月の支払い分を減らすということを検討することもできるでしょう。(融資期間を延ばすとキャッシュフローは改善されますが、金利支払い分は結果的には増えることにもなります)
あるいは銀行と金利交渉を行い、金利を下げてもらうことによって、キャッシュフローを改善えることもできます。
これまで長年にわたって、返済実績を積み上げてきたのであれば、銀行の評価も上がっているはずで、案外とすんなりと金利交渉に応じてくれるものです。(筆者も2回ほど金利交渉を行い2回とも応じてくれました)
さらに複数のアパートを経営しているならば、キャッシュフローが好調のアパートの収益をキャッシュフローが思わしくないアパートの繰り上げ返済をする、業界では馬力返済とも言われていますが、馬力返済によってキャッシュフローの改善を図ることができます。
いずれにしても銀行への返済に着目して、その返済額を減らす方法は幾らかあるのです。
追記:キャッシュフローについてウィキペディアには
キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。
損益計算書と異なり、現金収支を原則として把握するため、将来的に入る予定の利益に関してはキャッシュフロー計算書には含まれない。 ・・日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支のことであるが、税の支払のように他のキャッシュフローに区分されないものも含まれる。 1万円現金で売り上げて給料で現金6千円を支払い預金に1百円の利子がついた場合、営業キャッシュ・フローは4千1百円の黒字。
と書かれています。
このようにキャッシュフローは
・現状のお金の出入りと手元に残る資金
・将来の予定は含まれない
というもので、現状の収支を正確に把握して、現状でどのようなてんを修正や改善を図ることができるかを知るうえでは有用な計算方法だと思われます。