新築のころは、家賃も高く設定しても入居者が決まり、例え退去者がでても、すぐに次の入居者が決まったものです。
しかも新築なので、修繕費用がかかることは、ほとんどなく出ていくお金も少なかったことでしょう。
ところが残念なことに、このような状態が続くということはありません。
物件も10年を超えてくると、物件の設備ももはや最新のものではなく、古いものになっていきます。
どう考えても、新しいアパートよりも見劣りする物件になっています。
ですから退去者がでても、なかなか次の入居者が見つからなくなっていきます。
そうなると家賃を下げるか、リノベーションをするなどして対処しなければならないでしょう。
さらにエアコンや給湯器などの設備も、10年を超えると、そろそろ不具合や故障が生じやすくなります。
さらには防水のために外壁や屋上や屋根の修繕工事を行う必要も生じてくるでしょう。
ですから新築~10年ぐらいまでの間は、アパート経営で順調にキャッシュが貯まっていったかもしれませんが、だんだんとキャッシュが貯まらなくなっていきます。
そこで当初は節税対策に腐心したのが、だんだんと節税対策から資金調達をすることに腐心するようになっていくかもしれません。
このようにアパート経営も
10年を超えると節目を
むかえます。

都心部エリアにある規模の大きな賃貸マンション。
ではどのように対処すれば良いのでしょうか。
1つには大規模修繕工事の前などに物件そのものを売却することを検討することもできるかもしれません。
そして売却して得たお金で、次の新しい物件を購入するのです。
地主さんの場合はなかなかそのような事柄はできないかもしれませんが。
しかし売却と購入のサイクルを繰り返し行うことで、不動産規模を拡大させた方もおられるようです。
もちろん利益は薄くなっても、修繕やリノベーションを繰り返しながら、10年、20年・・と同じ物件でやりくりすることもできるでしょう。
RC造りの建物ですと解体費用は高額になりますし、RCの建物自体は60年以上は物件としてやっていけるとも言われていますので、そうするのも1つの方法です。
しかしいずれにしても物件も10年を超えると収益力が落ちていき、新築時のようにキャッシュが貯まるということはありません。
節目ともいえる10年超に上手に対応していきましょう。
追記:大東建託のオーナーさんの場合は、大東建託の一括借り上げの場合、最初の10年のオーナーに支払われる賃料は一定なので、その10年でとにかくキャッシュをためこむことができます。
その後に、別のアパートを建てて大東建託の一括借り上げで、キャッシュをためこむわけですが、そのキャッシュで、10年超の物件の銀行からの返済負担を減らすために、繰り上げ返済を行います。
そのことによって最初の物件のキャッシュフローを改善させることができます。
そのようなことを繰り返し、アパートの棟数を増やし、スケールの拡大によるスケールメリットを享受する方法もあります。
ただしこの方法だと、結果的には全体的な銀行への債務額は膨れ上がることになりますし、大東建託が当初の10年のオーナーに支払う賃料を変えることなくきちんと支払ってくれることも前提となってきます。
もしも大東建託の経営が傾いてくるようなことがあれば、10年間の賃料が一定という前提がくずれることもあり得ます。
ですからやはりリスクの伴う方法です。
もちろん、どんな形の不動産の投資であっても必ずリスクが伴うわけで、リスクを背負いたくなければアパート経営そのものを行わないのが良いでしょう。