
ブラック家主が横行し始めている。
1990年前後のバブル経済のただなか、地上げが横行しました。
当時は銀行も地上げための資金を融資するなどして、不動産価格が驚くほど高騰したものですが、不動産バブルが弾けると、長い長いデフレ時代がおとずれます。
ところで地上げ時代に行われた事柄に、地上げの対象となるエリアに賃借している住人を、とにかく追い出すために、ありとあらゆる下劣な事柄が行われていたことは、よく知られた事実です。
結局のところ、住んでいる住人も、怖さから退去せざるをえない状況へと追い込まれます。
そのような事柄への反省からか、平成3年10月4日に借地借家法が制定されます。
この法は簡単に言えば、土地や住居を借りている場合に賃貸人は正当な理由がないかぎり賃借人を追い出すことはできないという法律です。
この法は、けっこうな力がある法で、その後、安易な理由で賃貸人が賃借人に退去を求めることができなくなりました。
いわば賃貸人と賃借人の力関係が、どちらかと言えば、賃借人のほうが有利になったとも考えることができるほどの変化が生じたのです。
基本的には家賃も双方の合意が必要となりましたし、思い切り法外な家賃を求めて退去を迫ることもできません。

積水ハウス設計施行のアパート。
このおかげか、しばらくは下劣な方法で賃借人に退去を迫ることは、あまり起きなくなったように思われていましたが、最近は再び地上げ活動が行われているとかと言われています。
というのも都心部においては土地価格が上昇しており、それに目をつけた不動産業者などが、不動産の売買を活発化させているようなのです。
そのためには以前のように、対象となる不動産の賃借人を、なんとか退去させようと、ありとあらゆる嫌がらせを行っているんだとか。
通称「ブラック家主」とも言われるんだそうですが、彼らの狙いは値上がりする不動産を高値で売り抜けることにあるようです。
そのための障害となるのが、退去しようとしない賃借人となるわけですが、大金に目がくらんだブラック家主は、借地借家法に触れない程度に、ありとあらゆる手段で、賃借人を追い詰めるんだとか。
なかには高齢のために、慣れ親しんだ住居を後にしたくない方もおられ、社会問題化しつつあります。
私も賃貸住宅の家主の1人ですが、ブラック家主とみなされたくはないものです。
追記:ブラック家主の問題については産経新聞2015/8/26の『「ブラック家主・地主」横行 古い賃貸の住民恫喝、立ち退き要求 重機で“破壊”のケースも 』の記事に詳細なことについて書かれていますが、記事によると不動産価値が上昇している東京や大阪の都心部などで、そのような事例が生じているようです。
その目的は高値でマンション業者などに売ることなどにあるようで、やはりお金に目がくらんで、行ってくるようですが・・。
ところでブラック家主、ブラック地主とも言われていますが、対処法としては法律に則って、毅然とした態度で臨むことです。
日本の場合は借地借家法によって賃借人は保護されており、正当な理由もなく賃借人を追い出すことはできません。
ですからきっぱりと拒否することです。
それでもしつこく退去を迫るならば弁護士などの法律の専門家に相談してみることもできます。
あるいは市役所などの無料相談を利用することもできるでしょう。